誕生日とか仕事とか乗せても、実際の当人が全く見えないので
読書感想文のページにすることにします。
以下の文を読んで、こんな奴だ、と思っていただければ、こちらの意図通りな訳です。
人事破壊 日下公人 (98/12/29)
すごく解り易いのが宜しい。
今の日本人は、会社に平等に扱われる事に慣れてしまっているので、実力に見合った賃金の差別化を図ら
ないと、社員はまじめに仕事をしない、という論は、自分の様な世代からすれば当然かも知れないが、企
業の上層部にいる人間にとっては、理解し難い事だったのかも知れない。
ところで、実力に見合った賃金の差別化を行う為の、具体的な判定方法については何一つ書いてない。
結局、実力の判定については、企業の上層部に委ねるという事なのか?まあ、上層部の判断に納得出来な
い人間は自分で事業を起こすべし、とあるのであるがね。
クロス・ファイア 宮部みゆき (98/11/19)
自分が良心の呵責に耐えられない、というだけで、他人の幸せを踏みにじって良いのか。
うおー、難しいですね。駄目なのかな。以前ドラマで「一度ついた嘘は、突き通さなくてはならない」と
言ってました。結局、その場その場で判断をして、一度してしまった判断は背負わなければならない、と
言う事か。
それから、クズでもクズ扱いしてはいけないお話しになっていた。ちょっと安心。
草野球の神様 ビートたけし (98/11/13)
お仕事に疲れたお父さんが、家に帰ってお風呂に入って「ふーっ」と言いながら読む様な本。
どーれ、明日も仕事するかい、ってな感じになりますね。
けど、簡単にやれすぎ。私のまわりぢゃ、こんな事ないぞ。
羊をめぐる冒険 村上春樹 (98/11/10)
なんか、「ねじまき鳥」と同じなんですけど。って言うか「ねじまき鳥」の方が後なんで、「ねじまき鳥」
の方が同じなのかな。
主人公は相変わらず、何かに巻き込まれて、猫に名前を付けて(重要なポイントか?)、理由も分からな
いまま最後のスイッチを押すハメになる。
こんな物語のどこに魅力を感じるか分からないが、それでも、読む自分は一体どこに魅力を感じているん
だらう。猫かな。
スナーク狩り 宮部みゆき (98/10/25)
相変わらず、宮部みゆきの文章は良くできてます。また、最後まで一気に読まさせられてしまいました。
たくさんの人物が一つの結末に向けて、突っ走るという感じが良く出てます。
しかし、私が納得がいかないのは「芯からクズの人間」が登場している事です。
「芯からクズの人間」かどうかが、物語の重要なポイントな訳ですが、私は、そんな人間がいるだなんて
到底信じられません。勿論、物語の中の話ですが、他の登場人物のリアリティが出来てしまうため、その
部分だけ、別の事とは感じられなくなってしまいました。
読み終わった後、何かを吐き出したいのだけれども、何を吐き出せばいいか分からなくて、奇妙なとまど
いに囚われてしまいました。
痴人の愛 谷崎潤一郎 (98/10/16)
「愛を貫く」のでは無く「愛欲に溺れる」人の物語。
これでもか、これでもかとあまりの格好悪さを見せつけられる。
こんな男っているんだろうか、と思いつつ、実際にいるんだらうね。
今時の物語だったら、最後には破滅が待っているのだが、溺れてしまっても、なんとか現実生活も送って
いるというところが、当時の物語の風潮なのかも知れない。いい世の中だったのね(違うか)。
イン ザ・ミソスープ 村上龍 (98/10/12)
日本には宗教は無い、指針も無い。
そうかもしれない。
鎖国されて安定した日本ではそれでも良かった。
しかし、今、ほころびがほぐれ初めている。
では、どうすれば良いのか。自分の意見を外に向かってはっきり言う事が必要なのか。
それは恐らく正しい。
しかし、本当に深刻な問題は、自分の意見を持てない国が、他の国と付き合わなくてはいけない事では無
いのだらうか。
葡萄と郷愁 宮本輝 (98/10/07)
なんか、良く分かんないです。最近分からない本ばっか読んでるな。
数時間後迄に人生における重大な選択となろう決断を控えた、二人の女性の心の動きを描いた物語です。
けど、それだけ。ストーリー的な面白さなんて全く無い。壮大では無い、叙事詩(叙情詩では無く)って
感じです。
実は、この本。自分で購入したのでは無く、友人から贈り物としてもらったもの。
読み終わったが、その友人の意図が全く分からない。単に彼が好きな本、というだけなのか?
パソコンはいらない 小幡浩二 (98/10/05)
こういう、挑戦的タイトルの本って好きですね。
内容的にはパソコン一切を否定しているのでは無く、「あなたの家にパソコンはいらないでしょ」という
事を、「パソコンぐらい触れなくちゃだわ」と勘違いしている人々に訴える本です。
私は元から、家にパソコンなんかあったってしょうが無いぢゃん、と思っていたクチですが、会社の同僚
達がどんどん買っていくのを見ていると、コンピュータ業界の人間は持って無いと駄目なのかしらん(H
P作ったり見たりするのは、会社のパソコンでやってる)とか、思ったりもしましたが、この本を読んで、
やっぱり、私はパソコンなんて、使わんわ、と再認識しました。
巻末に「あなたのパソコン必要度テスト」なるチェック方式テストものがついていて、いい感じです。
ねじまき鳥クロニクル 村上春樹 (98/10/02)
分からない部分が多い物語ですね。村上春樹はそんなんばっかですけど。
壁のこちらとあちらの世界があって、あちらの世界の説明は一切無し。「僕」にも分からない。
その中で「僕」の行動は一体なんだったのだろうか?
自分の意思で行動したのか、それとも、そうあるべきであった道をただ、たどらされたに過ぎないのか?
私には、ただ、たどらされたに過ぎない様に感じられる。
だから読みながら、「取り敢えず、なんとかなるだろう」という気にもなるし、「イデの思い通りにはさせ
ない」という気にもなる。
結局、村上春樹はどちらを意図しているんだろう。どちらでも無いのかも知れない。
ハルモニア 篠田節子 (98/07/22)
最後に男が「俺は主犯ぢゃ無い。」と言うが、これは嘘だね。貴様が主犯なんだよ。
結局男も自分自信の自己満足・自慰行為の為だけに、社会的責任を捨て去り、破滅へ向かって行ってしまう。
社会的責任を捨て去った後は行き着く先は一つしか無いが、実は、それは楽な道なんだよね。人間は苦しいけれども生きていか
なくちゃならいなんだよ。あれ、昨日鬼塚先生が言っていた様な、まあいいや。
人間は何の為に生きているのか、今生を謳歌する為だなんて事は未だ言えないが、少なくとも、その答えを探す努力が必要だ。
あれっ、これもどっかで聞いた科白。
しかし、4時間で1800円はちと高過ぎの様な気がする。それと、最初にエピローグ書く事、禁止。
ヒュウガ・ウィルス 村上龍 (98/05/31)
読んでる最中は全然分からなかった。昔書いた設定を使ってまで、一体何を書きたいんだろうか、と。
で、最後になってやっと分かったのが「危機的状況を常に意識して、それを原動力に変えていく必要がある。」という事だ。
ま、そう、思いたいのは分かる。けど、それって本当に必要なことなのだろうか。その意識を持っている人だけ選択する事に、
一体どの様な価値があるのだろうか。ちょっと違和感を感じます。
ポストマン デイヴィット・ブリン (98/05/10)
ちなみに映画は未見です。
あちらの人が好きそうな、草創期の設定で時代設定を大滅亡後に持っていったものですな。3つのつながりのある中編を読んだ感
じで、あんまり一本の小説といった感じはしません。最後にクライマックス的な奴もあるけど、仕込み的にずるい感じがしますな。
多分、ケビン君は感動したんでしょうね。
時計じかけのオレンジ アントニイ・バージェス (98/04/27)
結局政治批判をしたかったんでしょうけど、私が気になったのは、どうしようもない犯罪者の思考を強制的に矯正するという事が
正しいのかどうか、という点です。私の考えとしては、「一回は許してやろう。」です。つまり、反省の色無く2回目以降に同様
な犯罪を行えば、彼の思考を人為的に矯正する事も是なり、とするものです。
ここまでは、まあ良しでしょう。問題は、いかなる思考に彼を矯正するかです。この問題が解決しない限り、彼には永久に税金を
使って監獄に入ってもらうしかありません。なんとか、解決したいものです。最低でも個人的には。
宇宙の戦士 ロバート・A・ハインライン (98/04/19)
何の為に力を行使するべきなのか?を考える為にLAWサイドの人は必読です。
勿論、お国の為なんかに命かけちゃ駄目だよ。
IDEF 1X 松本聰 (98/03/08)
表記法は固有というか、一応規格で決まった表記法なので、勉強にはなりました。けど、後は特に目新しい事はありませんね。
この手の本でいつも思うのは、どうして第3正規形のやり方をいちいち例を挙げて説明するのか、それも第1正規形から順番に。
この本の発行は1996年7月です。第3正規形なんてみんな知ってるし作れるでしょ、正規化の説明ならその専門書があるぢゃ
ない、と思うのです。それとも現実問題として第3正規形ってあんまりメジャーぢゃないのかな。
一応知らない人の為に説明すると”IDEF 1X”とはアメリカで設定された規格でRDBの為のERDの表記ルールです。
この説明で分かる人には、内容は全然不要だし、何の事か分からない人にも内容は全然不要です。
リング 鈴木光司
らせん 鈴木光司 (98/03/01)
最近映画にもなり、良く売れてると噂の2作です。本当に売れている様で読もうと思ってから手に入れるまでに結構時間がかかり
ました。
「リング」の方は普通の、といったら失礼ですがビデオテープの呪いで殺されるという普通のホラー物。
でねー、「らせん」もそのつもりでいたら、驚かされました。「リング」で呪い殺された人を解剖して死因から科学的?な分析に
入るのですから。パラサイト・イヴ系ですな。
大体、呪い殺される時はその死因なんか調査したら駄目なのよ。ムド系やハマ系のイメージってその世界観だから通用するもので
そこに物理的な力が存在するとは考えにくいよね。それを「らせん」ではやっちゃうのだから「リング」から来ている読者の世界
観を崩してしまい、また、読者側の世界観も安定しない訳よ。ずるいよね。読者側の世界観が安定しないという事は、逆に何でも
ありになってしまう訳で、作者にとって都合の良いところで科学的分析と超常現象を合わせて展開出来てしまうのだ。こりゃ、読
んでる方は溜まらんよ。本当に予想がつかないんだもの。予想もつかない展開と言えば物は言いようだけど、「らせん」の世界に
引き込まれる人はいるのだらうか、とか思っちゃいます。
けなしちゃったみたいで、ごめんなさい。
「ループ」は文庫になったら買います。
五分後の世界 村上龍 (98/02/22)
やっと気付きましたが、村上龍の主人公ってヒーローなんですよね。どこかっていうと、物語に入る前に特殊技能を身に付けてい
るんです。その特殊技能を見ると、村上龍の理想というか、現代日本人に村上龍が不足していると感じているものが何か見えてき
ます。主人公はその特殊技能を使って、”生”を切り開いていくのですから。
終わり方もイカしてます。予想出来たけど。
返事はいらない 宮部みゆき
淋しい狩人 宮部みゆき (98/02/22)
宮部みゆきの探偵者短編集です。
人が死んだり泥棒したりと、物騒なお話ですが、何か暖かい読後感に浸れます。
昔、「太陽にほえろ」という番組がありまして、ま、刑事ものなんですがね、捕まった犯人が最後に「刑事さん、仕方なかったんで
えうううっっっ。」と泣き崩れるんです。いや、違ったかもしんないけどそんな印象が残ってます。で、当時の犯人像というのは、
やんごとなき理由により道を踏み外さざるを得なかった人たちだった訳です。しかし、なんですか、近頃の若いもんは、つーか、年
寄りもやってますけど、情状酌量の余地無しの輩が多すぎる。これはですな、仮面ライダーや昔の戦隊ものといったすっきりした
勧善懲悪番組を子供の頃に、刷り込まれてないからと私は推察します。暴れん坊将軍なんか子供見ないしね。で、変に敵側の心理描
写なんかやって誰も悪人ではない様なドラマになっちゃってます。つまり、なにが悪いことなのかが、見えにくい時代なのですよ。
話が逸れたけど、「太陽にほえろ」を感じさせる物語集です。
ビジネスマン13のタブー 村沢滋 (98/02/15)
こんな本読んでる、とか書くと自分がどのようなカテゴリーの人間かが見えてきますな。まあいいや。
この手の本は、半年毎に手にとってしまいます。精神的に弱いビジネスマンなんでしょうな。
で、書いてる内容は至って普通のビジネスマン向け指南書です。ふむふむなるほどな内容です。
いままでの本とちょっと違うと思わせるのが、タイトルから分かるようにやってはいけない事リストが付いていることです。
「***なので、***しなければならない。」という書き方は、なるほどと思っても、理想はねーそーだけどねー、となっちゃ
います。が「***なので、***してはいけない。」と書かれると、近寄ってはいけないゾーンが明確に示される訳で、やって
はいけない事=やらなくてもいい事ができます。こいつは現実的ですよね。各章にやってはいけない事リストがついているので、
傷心気味のビジネスマンは、立ち読みでチェックしましょう。
火車 宮部みゆき (98/02/10)
なんかね〜、暗いんですよね〜。
暗いというと今までの宮部作品も暗いんですが、今までは冷たいって感じで、今回は辛いって感じです。
行間から追い込まれたつらさが溢れてくるんです。読んでてあんまりわくわくしない。
それでいて、最後まで一気に読み終わらせる文章と構成は素晴らしいと思います。
それと最後。あれは無いんぢゃない!かなりずるいと思うぞ。そこまでみんな何を期待して読んでると思うんだ。
つー事であんまり人には薦められません。やっば、「竜は眠る」だと思うぞ。
平気でうそをつく人たち M・スコット・ペック (98/01/30)
本自体は邪悪性について、いろんな考察を行っているのですが、私自体は、自分に内在する邪悪性に気づく大変な本になりました。
本の中に怠惰な奴の事例が紹介されているのですが、そいつと自分の姿が重なってしまったのです。自分は怠惰だということをう
すうす感じながらも、自己批判せず、気づかれない様に他の部分で誤魔化す。実は私はそんな奴だったのです。
徴兵制については興味深い意見がありました。軍隊外の人間が、国家のダークな部分を軍隊に押し付けて自分が炬燵でのほほんと
している状況を変革する為には、徴兵制を敷き、国民各自が引き金を引く感覚を身に付けている必要がありそうです。
最近、自国を自前の軍隊で守る事を放棄している事に気づいて、この手の問題は気になります。